お疲れさまです。かわせです。
もうすぐクリスマス。クリスマスといえばサンタクロース。
『サンタさんに何をもらうか?』
子供たちにとってこれほど重大な問題があるだろうか?あるはずがない。
この季節、子どもとサンタクロースによる非常に高度な心理戦が各家庭で行われることは、言うに及ばない。
僕が子どもの頃も例外ではなく、毎冬サンタクロースとの心理戦が繰り広げられていた。
幼い頃はプラレールやトミカなどが欲しく、その旨をつたない文字で手紙にしたためていた。そのリクエストはことごとく叶えられ、25日の朝、ぼくは毎年歓喜していた。
『サンタクロースは欲しいものを何でもくれる!!!』
僕は全幅の信頼をサンタクロースに置いていた。
小学生になるまでは、、、
小学生になったぼくはゲームがすごく好きだった。特に小学3年生の時に発売された『ニンテンドー64(通称ロクヨン)』は喉から手が出るほど手に入れたい代物であった。
…しかし、ゲームに対し懐疑的な河瀬家でロクヨンを手に入れる事はほぼ不可能。望みがあるとすれば、それはサンタさん。
『サンタクロースにロクヨンをもらう』
現実的に考えてそれしかなかった。
小学3年生のクリスマス。ぼくはロクヨンが欲しいという願いを手紙にしたため、それを枕元におき、ドキドキしながら朝を待った。
しかし、その願いが叶えられる事はなかった。
その年サンタさんがくれたのは『ジャファーの逆襲』のビデオと、ガンプラ(シャイニングガンダム)の2つだった。
ぼくは、、、とても嬉しかった。
夢中でガンプラを作り、ビデオは何十回も見た。
でも、ぼくが1番ほしいのはロクヨンなのだ。なぜサンタさんにリクエストが通らなかったのか??
考えられる理由は二つあった。
一つめは、日頃の言動の悪さによるサンタクロースからのペナルティ。
二つめは、リクエストの出し方が不十分であり、サンタクロースとの間に相違が生じた可能性。
一つめは僕のなかでないだろうという自信があった。弟の面倒もよく見ていた。
ということは二つめしか理由は考えられない。そうと分かればやる事は明確だ。ロクヨンが欲しい!!とサンタさんにしっかり伝える。それしかない。
きたる小学四年生のクリスマス。この年になるとしっかりした文章が書ける。手紙は完璧だ。誰がどうみてもロクヨンが欲しいことは明確。サンタクロースとの間に相違が生じるとは、とても考えられない。
更にぼくはダメ押しでウイスキーの小瓶を用意した。プレゼントを配るサンタさんへ、心ばかりのねぎらいである。
ここまでやったんだ。絶対にサンタさんへ想いは届いているだろう…
僕はその夜、ついにロクヨンが手に入るのだ、、、と思うとドキドキしてなかなか寝付けなかった。
しかし……その願いが叶えられる事はなかった。その年のプレゼントは『キャプテン翼ワールドユース編 全18巻』だった。
僕は、、、すごく嬉しかった。
なぜか14巻だけ抜けていたが凄くうれしかった。何度も何度も読んだ。
しかし、ぼくはロクヨンがほしかった。サンタクロースに対する憤りは知らずのうちに日々大きくなっていく。
『サンタクロースは一応俺のツボはついてくる。それはそれで素晴らしいのだが、、、』
ぼくのサンタクロースに対する全幅の信頼は、最早なかった…
『サンタの正体は親』
小学5年生にもなると、そう言い回る不届きな輩が目に入った。ぼくは信じたくなかった。それが事実ならロクヨンが手に入る事は未来永劫ないだろう。それだけは絶対に避けたい、、、しかし…
小5の冬。ぼくはサンタクロースの存在を否定してはいなかった。だが、ロクヨンをもらうという願いは半ば諦めていた、、、サンタさんへの手紙には『なんでもいいです』と書いた。
全てを受け入れるという覚悟の現れでもあったと思う。
翌朝、枕元にあったのは『はだしのゲン 全10巻』だった。
ぼくは、、、とても嬉しかった。
はだしのゲンは学校の図書館にしかないものだと思っていたが、それが全巻ウチにあるのだ。友達に自慢し、何度も何度も読んだ。
しかし…結局ロクヨンをサンタクロースが持ってくることはなかった。僕の願いは届かなかった。
『現実は思い通りにはならない』サンタクロースはそんなメッセージを伝えたかったのかもしれない。
2021年冬。今年もサンタクロースがやってくる。あなたは何をもらいましたか?
おわり
p.s
『ドラえもんのび太の鉄人兵団』に登場する巨大ロボット、ザンダクロス。このナイスなネーミングはサンタクロースを文字ってドラえもんが名付けた。
ちなみにザンダクロスのモデルは百式。