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オーナーシェフの河瀬です。

2020.1.10〜Twitterで炎上した〝イキリパスタ〟について考えてみる〜

お疲れ様です。プティルッソのかわせです。

 

今日しったのですが、最近Twitterであるツイートが炎上していた話題のレストランがありした。かなり興味深い内容だったので深掘りしたいと思います。

どんな炎上ツイートか簡単にいうと、リストランテに予約なしで来店した親子が、パスタ2皿だけのオーダーだった事を批判する内容。かなり批判的な内容で、これは炎上するなーという感じです。ネット上では〝イキリパスタ〟というワードでコレをツイートしたスタッフの本名から店名まで晒されていて、こ、怖すぎると震えました。

 

 

以下原文(ちょっと長いです)

 

 

 

ディナーで予約していない親子(中学生)が来店 席も空いていたので案内した オーダーを聞きに行くとパスタ2品のみ 前菜やメイン料理のオーダーを尋ねるといらないと言う 一応リストランテなのでパスタのみでのオーダーは受け付けていないので最低料金を下回る場合、席料を頂戴する旨を伝える 続く

すると、あろうことか言うに事欠いて
「二人ともあまりお腹が空いていないんですけど…」
このセリフどう思いますか?
レストランですよ?
お腹を空かせたお客様が少しでも美味しい料理とワインを楽しみに来る場所がレストランです
料理人が食べる人の事を考えて長い歳月をかけて修行し勉強し
続く

少しでも良い食材を限られた予算の中で探し出し
朝から晩まで休む間も無く仕込みと試作
その一皿が出来上がるまでに途方も無い時間と経験を掛けて仕上げる料理を食べに来るのに
2人ともあまりお腹が空いていないんですけど?
じゃあレストランに何しにくるんですか?
続く

レストランはコンビニやファミレスではありません。
お酒が飲める飲めないは体質などもあり仕方のないことはあります。
しかし、「お腹が空いてない」この軽率な発言がどれだけ料理人とそのレストランを運営しているスタッフにとって侮辱的か理解していない方が多いように思います。
続く

予算や経済状況があるのは分かります。
しかしお客様が求めるサービスと美味しい食事があるように、お店にもお客様に求める最低限の予算とモラルはあります。
予算が少ないようなら前もって電話やネットなどで確認するなりツールはいくらでもあります。
続く

予算を確認することは決して恥ずかしい事ではありません
予算が届かなく来店出来ないのは仕方無いと思います
特別な記念日やハレの日にレストランで普段では食べられない料理とサービスを受けるために、努力やお金を貯めて予約して頂ければいいと思います
料理人もフロアもその為に努力しています

今では不景気に煽られグランメゾンや外食、酒離れなどが深刻化している昨今
千円そこらで食事できるカジュアルなお店が増えるのも分かります
しかしそんなチェーンの様な料理をしていない店とは違い個人店や名店と言われる店の料理人は生半可な覚悟や修行をしてきた訳ではありません
続く

大枚を叩けとは言いません
身の丈にあったお店選びや来店前にでも予約するなどお客様も(食べる準備)をして頂きたいと思います。
軽食や小腹を満たすためなら日本は世界一コンビニやファミレスが多い国(笑)なのでそちらで賄った方が良いと思います
続く

もう少し食に対する意識の低さ、飲食店を下に見る風潮は改善したいと思う出来事でした。
最後に1つ
飲食店の[サービス]は給仕の意味で、決して奉仕や無料で提供される意味で使われる[サービス]ではありません。

 

 

というツイートでした。

 

多くの方がこれを読んで、イヤーな気持ちになったと思います。

 

ただ飲食店側から見た時に、この方の言っている事も少しわかります(だからといってネットに晒すのは絶対駄目ですが)

ここはフラットな目線で分析してみましょう。

 

このツイートの言い分は

 

リストランテでパスタ2皿の単品注文はどうなんだ?

・料理人の苦労やこだわりを知ってください。

・予算に合わせたお店選びをしてください。

・ただ小腹を満たしたいならコンビニかファミレスに行ってください。

 

と言ったところでしょうか。

 

まず、『リストランテなので単品パスタ2皿だけの注文は困ります。』という主張。同業者として言いたい事はよく分かります。しかし…

 

リストランテって?

リストランテ〟という単語をしっかりと理解しているお客さんはあんまりいないのでは?と思います。

 

イタリアではお店の区別としてリストランテ、トラットリア、オステリア、タヴェルナ、バールのような名称がありますが、これを明確に説明できる一般の方はあんまりいないのではないでしょうか?出来る方は相当食べる事が好きな方と思います。

 

簡単に説明すると…

リストランテ

いわゆる高級レストラン。ドレスコードがある場合も。基本的にはコース料理がメイン。キムタクのドラマ〝グランメゾン東京〟のグランメゾンに当たるイタリア語。

日本で例えれば高級料亭。

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・トラットリア

リストランテよりもカジュアルな大衆食堂的な意味合いのイタリア語。

ラフな格好でも入店オッケーで気軽に食事を楽しむところ。価格帯はピンキリ。

日本で例えれば定食屋。

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・オステリア

カジュアルに食事とお酒を楽しむところ。日本でいう居酒屋。トラットリアと意味合いは似てるかも。

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・バール

軽食メインの飲食店。フランス語で言えばカフェ。日本でいえば喫茶店

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みたいな感じで区分されているのです。

 

この炎上ツイートはリストランテだから云々と始まっています。ここで問題なのはお客さんと店側に〝リストランテ〟の理解のズレがあったという事です。

 

リストランテ=レストランではない

このツイートに対する意見をザッとみてみると、どうやらリストランテ=レストランという解釈をされている方が多い印象を受けました。

 

しかし個人的には、リストランテ=レストランではないと思います。

 

リストランテは先に説明した通りです。一方レストランとはWikipedia先生によりますと…

 

レストラン(仏: Restaurant)とは、食事を提供する店である。持ち帰りをするテイクアウト、配達をする出前・仕出し・デリバリーなどの形態もあるが、日本語では食堂や飲食店とも称され、一般に店内で食事をする場所を提供するものを指す。

とのこと。

 

つまり、レストランとは食事をする場所の総称であります。その区分分けの中にリストランテがあるということです。

 

なのでリストランテで単品のパスタ2皿だけを注文する事をわかりやすく例えるなら、高級料亭でお刺身だけ単品注文する。みたいな感じ。

 

店側の言い分としては完全に否定出来ない部分があります。

 

しかしながらお客さんからしたらリストランテだろうがトラットリアだろうがオステリアだろうが知ったこっちゃねーワケです。

 

このツイートの言い分〝リストランテでパスタ2皿の単品注文するのはどうなんだ?〟という主張は、大多数のお客さんには届かないなーというのが僕の感想です。

そもそもリストランテを名乗るのであれば、完全予約制にするなり、店構えを格式高いものにするなりのアピールが必要なわけで、このお店が叩かれている理由の一つに〝リストランテに見えない〟という要因があります。

 

お店側のアピール不足

もうネットに晒されているので(怖い)僕も見てみましたが、確かに店構えはリストランテには見えない。

 

祇園の高級料亭にフラッと入る人はいないように、高級イタリアン、つまりリストランテに予約なしでフラッと入店する人はあんまりいません。

しかしこのお店はフラッと入れるような店構えなので、このような悲劇が起きてしまったのです。

 

つまりウチは高級レストランだよ!お高いよ!というアピール不足であったということです。 

 

お客さんを選ぶのは悪いことなのか?

で、この炎上ツイートについたコメントを見ていると、店がお客さんを選ぶなんて云々というコメントもチラホラありました。

 

いわゆる殿様商売は良くない!という事でしょう。しかし、お客さんがお店を選ぶ権利があるように、お店側にもお客さんを選ぶ権利はあります。

 

これはターゲットを絞るという話です。

 

僕のお店で言えばメインのターゲット層は、時間とお金に余裕のある40代から60代の方です。

 

このターゲットを絞るということはなんら悪いことではなく、飲食店の経営においてはめちゃくちゃ重要なことです。

 

例えば、記念日にちょっとお高いコース料理を食べたい年配のご夫婦と、とにかく質より安くて量!という大学生どちらもターゲットにしたらどうなるか?

 

まあ現実的にこれは無理があるでしょう。言ってしまったらリストランテとバールどっちも同時にやろうとしている何だかよくわからない店になってしまいます。

 

なので、ターゲット層を明確にする事は、言い換えればお客さんを選んでいるという事なワケです。

 

 

しかし、お客さんの立場から考えると〝客ありきの商売なのに何様だ!〟となってしまうのは当然です。

 

なので、しっかりとターゲット層をアピールする事がめちゃくちゃ重要なわけです。

 

 

そしてやっぱりそのお店側の事情を、何も知らないお客さんに押し付けてしまうのは間違っています。Twitterで批判ツイートなんて絶対ダメ。そんな事してもなんの意味もないです。

 

リストランテを名乗りたいのであればターゲット層を明確にして、リストランテ感をお客さんにアピールするのが正解かと思います。

 

評価するのはお客さん

そして料理人の苦労やこだわりが云々という主張も、お客さんからしたら〝知らんがな〟とうのが一般的かと思います。そこを押し付けるのはちょっとダサいかなと…お金もらうプロであればこだわりや苦労、美味しい料理やサービスを提供する事は当たり前なので、そこを主張してもあんまり意味ないなーと個人的には思います。そこを評価するのはお客さんなので。

 

予算に合わせたお店選びをしてくださいという主張はもっともですが、お店側が価格帯をしっかりと提示していなかった事に原因があるのでは?と思いました。これは自分の店にも言える事なので(意外と高いな…という印象を持たれるお客さんも稀におられるので)気をつけないとダメだなと思います。

ネットにちゃんと価格を出す。店頭にも価格帯が分かるような工夫をするなど。お客さんが分かりやすいような動線づくりは大切だなと感じました。

 

 

コンビニやファミレスの料理を小馬鹿にする内容についてはよろしくないです。このツイートは高級レストランがファミレスやコンビニのことを下に見るような感じですが、記念日にはリストランテでコース料理を、リーズナブルにサッとすませたい時にはファミレスやファストフードを、てな感じで誰しもが飲食店を使い分けています。

 

飲食店に優劣などはなく、住み分けが大事だと思います。

 

 

さて、長々書いてしまいましたが、ネットって怖いですね…このツイートもオーナーさんではなくスタッフによるモノだったみたいです。

 

まあオーナーさんもツイートしないにしても、このスタッフさんとは同じ考えであったのだと思います。いや逆か、オーナーさんがこの考えだったからスタッフさんにも伝わってしまったのかな??

 

まあはっきりと言える事は何もないので、そこはどっちでもいいけどTwitterって怖いな。一つのツイートで店が潰れてしまう危険性があるのだから…

 

この炎上したお店も客足が途絶えて閉店の危機らしいです。

 

ネットは便利だけど使い方次第だな…てことを、すごーく深く考えさせられた内容でした…

 

 

発信には細心の注意が必要ですね。気をつけよう…最後までお読み頂きありがとうございました。

 

 

おわり。